陸軍鉄道連隊E18型蒸気機関車~練馬区に国内唯一静態保存されています。

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【陸軍鉄道連隊E18型蒸気機関車】

E18は整備の上、
ユネスコ村に静態保存されました。
その後、E18は長らく
エリエイの玄関前に
保存されていました。
しかしながら荒廃著しいことと
同社社屋改築により、
2007年に大井川鐵道に搬出されました。
大井川鐵道では新金谷駅の
大代川側線にしばらく留置されていましたが、
2012年に修理が行われ、
同年東京ビッグサイトで
開催された国際鉄道模型コンベンション会場にて
お披露目の後、
新築されたエリエイ社屋前に再設置されたのでした。

日本陸軍鉄道連隊E形蒸気機関車

【所在地】
東京都練馬区豊玉北1丁目1ー12
株式会社エリエイ

【駐車場】
近隣にコインパーキングがあります。

【最寄り駅】
都営地下鉄大江戸線「新江古田」駅。

【日本陸軍鉄道連隊E形蒸気機関車】
日本陸軍鉄道連隊E形蒸気機関車
(にほんりくぐんてつどうれんたいEがたじょうききかんしゃ)は、
かつて日本陸軍鉄道連隊に所属していた蒸気機関車です。

日本の陸軍省の発注により、
鉄道連隊で使用する野
戦軽便鉄道用機関車として、
1921年にE1ーE25の25両、
1925年にE101ーE106の6両、
と2回に分けて合計31両が発注され、
ドイツのオーレンシュタイン・
ウント・コッペル-アルトゥル・コッペル社で製造されました。

これは、1901年より鉄道大隊⇒鉄道連隊が
193セット386両をドイツより輸入した
A/B形双合機関車では勾配区間での
取り扱いなどに難があったことから、
1両での牽引力の増大と
曲線通過性能の維持の両立を図って
5動軸の強力機としたもので、
元来は双合機関車と同様、
ドイツ帝国陸軍の
野戦軽便鉄道向けとして
設計されたものです。



なお本形式については
動軸遊動機構が
オーレンシュタイン・ウント・
コッペル-アルトゥル・コッペル社の
技師長であった
グスタフ・ルッターメラー博士
の考案になるものであったため、
特許権を保有する同社の
1社独占受注となっていました。

【構造】
軸配列0-10-0(E)形で、
600mm軌間向けの
飽和式単式2気筒サイドタンク機です。

急曲線通過に備え、
第1・5動軸には
それぞれ第2・4動軸から
左右に首振り可能な
密閉式ギアボックスによって動力を伝達し、
さらに第3動軸が左右に
スライド可能なルッターメラー式
(コッペル・ギアシステム)動軸遊動機構を採用しています。
このため、動輪が台枠の内側に
収められた外側台枠方式となり、
水タンクも複雑なギアボックスが
車輪間に内装される関係で、
この種のドイツ製小型蒸気機関車では
標準的に採用されていた、
台枠の一部を水タンクに
利用するウェルタンク式ではなく、
台枠上のボイラー左右にタンクを
振り分けて搭載するサイドタンク式とされています。

このルッターメラー式は、
曲線通過が容易になり、
先行するクリン-リントナー式と比較して
ギアボックスが密閉されているため
塵埃の多い過酷な環境での使用にも
良く耐えていましたが、
その反面第1・5動軸の軸重抜けが
発生しやすく、いざという時に
踏ん張りが効かないという問題があります。
またクリン-リントナー式ほどではないにせよ
保守にも難があります。
日本国内向けとしては
この鉄道連隊向け以外での採用例は存在していません。

弁装置は一般的なワルシャート式で、
メインロッドは第3動軸に、
サイドロッドは第2~4動軸に
それぞれかけられています。

【運用】
1921年と1925年の輸入後、
鉄道連隊に配備されて
運用が開始されましたが、
日本では重心が高く
脱線しやすいという問題点が指摘されました。
そのため、後にボイラーの
火室部などを改造して
寸法を縮小してボイラー中心高さを下げ、
重心を引き下げる工事が実施されました。

その後の増備については、
日本で本形式のアウトラインを
模倣したk1形(1929年、川崎車輛製)
1両およびN1形(1929年、雨宮製作所製)
1両の競争試作を経て、
川崎車輛製のk1形を基本に
1942年より量産されたk2形が
これに充てられています。

本形式の大半は
満州に配置されていたため、
第二次世界大戦後の消息は不明です。
けれども国内に残されていた一部は
終戦後西武鉄道・小湊鉄道などに払い下げられ、
使用されました。

もっとも、動軸遊動機構の特殊さから
改軌工事が困難であったようで、
日本国内に残存したk2形の多くが
1067mm軌間用に改造されたのに対し、
本形式はいずれも600mm軌間のままで
最後まで使用されたとのことです。



このうち西武鉄道安比奈駅の
砂利採取線で使用されたものは、
その後3両が長く同地に放置された後、
玉川上水の西武倉庫に保管されていましたが、
このうちE18とE103の2両は整備の上、
ユネスコ村に静態保存されました。

その後1990年の同村閉園に際し、
E18は東京都練馬区の株式会社エリエイ出版部。
E103は北海道紋別郡遠軽町の
丸瀬布森林公園いこいの森に移設のうえ
保存されていましたが、
E103は2002年10月に
同車の動態復元を目的として、
ドイツの鉄道保存団体である、
フランクフルト軽便鉄道博物館
へ譲渡・搬出されました。
2012年現在、ボイラーや台枠、
ルッターメラー式動輪遊動装置を
はじめとした走り装置等の再生、
腐食の著しい運転室や水タンク、
喪失したサイドロッド等の新製を含む
大規模なレストア作業が継続されています。
2013年10月には、
新製したボイラーを含めた組み上げが完了し
翌2014年3月には試運転を成功させています。

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